関節リウマチはどんな病気?
リウマチは、関節や骨、筋肉などの運動器に炎症を起こす病気の総称ですが、その中で代表的な疾患が関節リウマチです。
関節リウマチは、自己免疫疾患の1つと考えられており、関節内にある滑膜で細胞が増殖し、全身の様々な関節に炎症がおき、痛みやはれを引き起こします。進行して骨や軟骨が破壊されて関節に変形が起こると関節を動かせる範囲が狭くなり、歩けない、物を持てない、などさまざまな機能障害を引き起します。
以前は、リウマチは、関節の変形が進んで寝たきりになってしまうことも多く、不治の病とも言われていましたが、ここ数年の生物学的製剤の発展により治療効果が飛躍的に向上し、10年前とは比べ物にならないほどに進化しています。
リウマチは、早期診断と治療により骨や軟骨の破壊が始まる前に進行を抑えることが何より重要です。
症状が進行すると、関節の組織が破壊され、手指の変形、関節の脱臼などが起こり、日常生活に困難が生じてしまいます。
気になる症状がある場合は、お早めにご相談ください。
リウマチはどんな症状がでますか?(初期症状について)
リウマチは高齢の方に多い病気と思われがちですが、実は30~40代の発症が一番多く、4対1で女性に多く発病します。初期症状として、倦怠感や食欲不振、発熱などがあります。その後に、手指関節の腫脹、炎症や朝に「こわばり」と言って、手や足の指関節がこわばって動かし難い状態になるのが関節リウマチのよくある初期症状です。
次のような症状がみられるときは、リウマチの前兆かもしれません。
気になる症状がある場合は、お早めにご受診ください。
- 朝に手や足の指関節がこわばって動かし難い状態になる
- 関節のあちらこちらが痛む
- 手足のしびれ、痛みがある
- 全身の倦怠感がある
- 微熱が続く
- 食欲がない
朝におこるこわばりとはどんな症状?
リウマチの初期症状として、「朝のこわばり」と呼ばれる症状があります。
これは、朝起きた時に手、指などの関節がつっぱって、思うように曲げにくくなるのですが、しばらく動かしていると普通に動かせるようになります。
他の疾患でも朝のこわばりがみられる場合がありますが、1時間以上続くような場合はリウマチの可能性があります。
リウマチの診断について
関節リウマチの診断は、2010年に発表された分類基準を参考に行います。関節が1か所以上腫れていて、他に関節が腫れる病気が無い場合に、症状と検査から点数をつけて、6点以上であれば関節リウマチと診断します。
2010年ACR/EULAR新分類基準(アメリカ・欧州リウマチ学会) | ||||||||||||||||||||||||
関節病変
血清学的検査(RF または 抗CCP抗体)
滑膜炎の持続期間
炎症反応
上記の合計点数が6点以上である症例は関節リウマチ確定例 (definite RA)と診断されます。 |
上記の他、血液検査、レントゲン検査から関節リウマチとどうかの診断をします。
生物学的製剤によるリウマチの治療とは?
リウマチの治療薬には、従来から利用されてきた抗リウマチ薬と近年開発された生物学的製剤があります。
生物学的製剤は、最先端のバイオテクノロジー技術によって生み出された医薬品で、生物から産生される物質(たんぱく質)を応用して作られた製剤で、関節リウマチに対しては2003年から国内で使用が開始されています。
これまでの抗リウマチ薬に比べて有効性にかなりの期待ができる薬剤として、特に関節に炎症を起し破壊を進行させるサイトカインの働きや産生する細胞の働きを抑えることで関節破壊の抑制効果に優れていることが知られています。
リウマチの治療について
検査・診断の結果、関節リウマチと診断された場合は、早期に抗リウマチ薬や生物学的製剤での治療を行います。
ただし、これらの薬は免疫という身体にとって大変重要な機能に影響する薬ですので、副作用には十分留意しながらの投与が必要になります。抗リウマチ薬の中には、効果が期待できる一方で肝臓や腎臓障害の副作用へのリスクが高いものもあり、また、生物学的製剤は免疫の働きを抑えるため、感染症にかかりやすくなるため注意が必要です。患者様とご家族の方にリウマチ治療の方針と薬剤の特長や副作用について十分ご説明の上、治療を開始してまいります。
つらい痛みに対しては非ステロイド系消炎鎮痛剤などを使用し、また物理療法や運動療法で患部を温めたり動かすことによって、こわばりや痛みを軽減したり、また、関節に障害や変形をおこしている場合は、外科的手術も検討いたします。
入院による手術が必要となった場合は、迅速に適切な病院をご紹介いたします。